「桜子ちゃんは?」
「それが公園の方に走って行っちゃって…すぐに戻ってくると思うんだけど…」
「ふふっ、元気ね。子供は遊ばせてあげましょう!」
なにやら母同士、父同士で会話に花を咲かせ始めたので、俺は適当に別荘を回ることにした。
久しぶりに来た、ここの花園。
暑い気温だからこそ美しく咲く花々が、激しく主張し合っている。
和花と洋花、様々な種類の違う花が咲いている姿は、とてもじゃないが綺麗とはいえなかった。
個々は綺麗なんだが、無差別に並べられていて、全体的な評価としては見栄えは最悪。
花の匂いもきついものばかりだし、段々気分が悪くなってきた。
別荘、戻ろう…。
そう思い、もと来た方向へ足のつま先を向けた。
その時、だった。
ガサッ、と、奥から物音がしたのは。

