結局未遂に終わり、目を覚ましたら病院にいた。
ああ、なんだ、死んでないじゃん。
心底残念に思ったが、目の前には久しぶりに会う両親が。
涙を流しながら、何があったのかと問い詰められた。
『死んでみようかなと思っただけ』
俺の言葉に、その場にいた全員の顔が真っ青になったのが、とても面白かったのを覚えている。
顔面蒼白。その日から、俺は精神がおかしいと判断され、母親は俺につきっきりになった。
父親はようやく出来た一人息子がこんな頭のおかしいやつになってしまったことが相当ショックだったのか、軽い鬱になってしまったらしい。
『牙玖…何か欲しいものはない?』
母親は、決まって毎日、俺にそう聞いてくる。
『無い』
そして俺は、その言葉を返す。
毎日、これの繰り返し。

