四歳の時には、京極財閥の一人息子、跡取りとして世にお披露目され、スポットライトを浴び始めた。

誰もが俺に媚を売り、"特別の座"を狙っているのが目に見えるようにわかる。


『人間って、薄汚いな。』

小学生になる前から、すでに社畜の大人かの如くませていたんだろう。



幼稚舎では、園児たちから遠巻きにされた。


原因は、この見た目。


京極家の人間は、黒い髪に真っ赤な瞳が特徴だ。

今となっては美しいだのと持て囃されるが、幼い子供にとってはその瞳で見つめられることが、恐怖にも似た感情を起こすらしい。


俺も呑気に育ったガキと仲良しこよしをするだなんて溜まったものじゃないので、都合が良かった。お互い様。


ああ、つまらない。

俺という存在は、どうして産まれてきたのだろうか。


そんなの決まっている、この家のため、家を継ぐ人間として、

俺はそれだけのために生を受けた子供。