まつ毛長いなぁ…肌も、真っ白。
本当に、絵本の中から出てきた王子様みたい。
漆黒の髪が、さらりと揺れる。
凝視しすぎてしまったのか、がっ君は、ゆっくりと目を覚ました。
慌てて、目を逸らす。
危ない危ないっ…見惚れてるのバレちゃうところだったっ…。
「…桜?」
うっすら開かれた瞼の奥に見える、真っ赤な瞳。
がっ君は一瞬状況を理解出来ていないように辺りを見渡してから、すぐにわたしへと視線を戻した。
「…ああ、すまない。いつの間にか眠っていた…」
申し訳なさそうな声に、首を左右に振る。
「うんん。ちゃんと眠れた…?」
「うん。おかげさまで」
よかった…。