わたしと離れた途端に、がっ君は女の子に囲まれ、身長の小さなわたしからは見えなくなってしまった。


自分の席について、筆箱とメモ帳を取り出す。

わたしは女の子の集まりを見つめて、心臓がチクチク痛むのを必死に隠した。



綺麗な子、ばかりだなぁ…。


がっ君って、好きな子はいないのかな?


そういえば、そうだ。

がっ君みたいな素敵な人、すぐに良い人を見つけられるだろう。

それなのに、がっ君に恋人ができたという話は、聞いたことがない。


がっ君も、そういう話はわたしにしない。


けど、もし。

がっ君に好きな人がいたとしても、がっ君はそれを、誰にも言わないんじゃないかな。

だって、がっ君は優しい。


わたしとの婚約を、解消せずに受け入れるくらいには、とても優しい。


解消しようと言えば、わたしがかわいそうだから…なんて、考えているんだろうか。