そういえば、がっ君はやけに我が家のしきたりについて詳しかった。
誰から聞いたのだろうか…と、幾度か疑問に思ったことがある。
がっ君の言うもう1つのしきたり…というのは、わたしも知らないものなのだろうか?
ニヤリと口角を上げたがっ君の唇が動く。
「純潔を捧げた相手と、生涯を共にしなくてはいけない」
その言葉を、頭の中で復唱した。
"純潔を捧げた相手と、生涯を共にしなくてはいけない"
その意味が、わたしにはわからなかった。
「純潔…?」
「ピュアな桜は知らなくて良いんだよ」
がっ君は、「ふふっ」と楽しそうに笑う。
「まったく…ほんとうに面倒なしきたりばかりだよね」
「……」
「十六まで異性と恋愛関係になってはいけない、なんてしきたりがあるせいで…僕が、どれだけ我慢したか…」
心底疲れきったような顔で、大きなため息を吐くがっ君。

