【完】君は狂った王子様。

「そうだよ、新居だ。桜はこれから2週間、ここに住むんだから。学校にも行く必要はない。今日僕が手続きをしてきたから安心して。生徒会の仕事も副会長に任せてきたし…僕らはここで、ずーっと二人きりだ」



2週間…?

その期間がなにを意味するものなのか、一瞬理解が遅れる。



「16歳になって、"僕のもの"になったら、学校くらいは行かせてあげるよ」



けれどがっ君のその言葉で、その意味を理解した。


2週間後。…それは、わたしの16才の誕生日だ。



…だけど、それがなに?

誕生日だから…なんなのだろうか?


やっぱり、考えても考えても、がっ君の考えは一向にわからなかった。

考えれば考えるほど、わからなくなっていく。



長い沈黙が、わたしとがっ君の間に流れる。

その息苦しい沈黙を破ったのは、がっ君の変な質問。



「桜のお家にはね、もう1つしきたりがあるのを知ってるかい?」



もう1つの、しきたり?