【完】君は狂った王子様。



転ける直前で、がっ君がわたしを受け止めてくれたようだった。



「薬が抜けきっていないから、ふらつくんだろう…桜はベッドでゆっくりしていて。今、ご飯持ってくるね?」

「ま、待って…ほんとうに、ここはどこなの…?」

「だから言っただろう?僕らの新居だよ」



ダメだ…話が、通じない。



「ふざけないでがっ君、わたしは本気で…「ふざけてるって?」



歯がゆくて少し強めにそう言えば、がっ君の低い声に遮られた。

顔色を一変させ、笑顔の消えたがっ君がわたしを見つめる。

その鋭い視線から目を逸らせなくて、わたしは少し怯んだ。


瞳の奥に、怒りが見える。


「俺のどこがふざけてるっていうの?」

「だって…新居なんて…」



恐ろしくって言葉を濁したわたしに、がっ君は淡々と言葉を並べる。