【完】君は狂った王子様。


そして、右足首に何か異物のようなものがあることに気づいた。

冷たい、鉄のような重いもの。

掛け布団で正体が見えず、がっ君を見つめる。



「がっ君…足に付いてるの…なに…?」



返事が怖くて、ごくりと息を飲んだ。

がっ君は、笑顔を崩さず、平然な顔で口を開く。



「鎖だよ」



…がっ君…なに、言ってるの?



「鎖…?」

「そうだよ。だって…ちゃんと繋いでおかないと、桜逃げようとするでしょう?」



がっ君、ほんとうにどうしちゃったの…?

「目を覚まして」と言おうと、勢いよく身体を起こす。

すると、突然目眩がしてベッドから落ちそうになった。


転ける…!

衝撃に耐えようとキツく目を閉ざしたけれど、予想していた痛みは訪れなかった。



「…っ、大丈夫か?」



ゆっくり目を開けると、目の前にはがっ君の身体。