「あれ、今日コンタクトしてないの?」




ふと、目を合わせた星奈が不思議そうに首をかしげた。

私がカラコンをしていないことに気がついたようだ。



「ん?どうせタクシーで移動するし、暗いから大丈夫かなと思って」



それにいつもの行動範囲とだいぶ離れてるし大丈夫だろう。

そんな軽い気持ちで、ほとんど変装していない状態で人混みに紛れていた。



「瞳が光にあたっていろんな色に変わってキレイ……!
いいなぁ、わたしも宝石みたいな綺麗な目がよかった」

「星奈の目も綺麗だよ。ブラックダイヤモンドみたい」

「ブラックダイヤモンド!?何それかっこいい!必殺技みたい!」



初めて聞く単語に食いついた流星に思わず笑ったその時だった。

突如場内にアナウンスが流れる。



───ただいまより、サンタさんによる『クリスマスお菓子まき』を始めます。
クリスマスの特別なお菓子がほしいみんな、ステージに上がってきてね!───



へえ、そんなこともするんだと聞いていると、服の裾を引っ張ってきた流星と星奈がキラキラとした眼差しを向けていた。



「いってきていいよ」



急いでステージの上に走って上がっていく2人。

やがて集まった子どもたちに頭上からお菓子がばらまかれ、それを一生懸命取ろうとがんばる。

私はその様子をステージの下から見ていた。

イベントが終わって子どもたちがはけると、流星は両手いっぱいにお菓子を持ってステージに仁王立ちしていた。