「えぇ?勘弁してくれよ流星。こんなかっこ悪いところ撮るなって」

「えー?でもいい写真だよ」



首を傾げる流星は「ねえ、あたしもとってよ!」という星奈の声に走り去って行った。



「あーあ、琥珀の前では最後までかっこいい後見人でありたかったのにな」



ぐすぐすと鼻を鳴らし、私のハンドタオルを拝借した拓海さんは充血した赤い目のまま無理やり笑った。



「拓海さんは今も昔もかっこいいよ。
夢のこと、ずっと想ってくれてありがとう」

「ありがとうはこっちのセリフだ。
夢が遺した子どもたちは、俺の道標になってくれた。
お前たちがいてくれるから、俺は迷わず進めるんだ。ありがとな」



拓海さんの笑顔と夢の笑顔が重なる。

ツン、と鼻の奥を刺激する感覚はなんだろう。

悲しみとは違う泣きそうな気持ち。

だけど清々しくて穏やかな気持ちになれる。

不思議な感情を胸に、心の底からの笑みを贈った。