「あー、おいしかった」



店を出た後、お腹をぽんぽんと押さえて呟いた。

運転席で「よかった」と呟く絆はスマホに視線を落としながら尋ねてきた。



「琥珀、明日の午前中、時間空けといてくれないか?」

「うん、特に用事ないからいいけど、どうしたの?」

「普通にデートしたいだけ。ふたりっきりの時間が取れてないから明日くらいふたりでいたいと思って」



エンジンをかけて車を発進させる絆。

その動作すらかっこよくてニヤついてしまったらその瞬間に目が合った。



「何笑ってんだよ」

「なんて恵まれた遺伝子なんだろうと思って」

「は?」

「今更なんだけど絆の顔すっごいタイプ。ずっと眺めてられる」

「……珍しくテンション上がってんな」



ずっと思ってたことを話したら引き気味に返答された。

……もしかして顔褒められるの嫌だった?

言葉の選択肢を間違えたかな、と絆から視線を外すと声をかけられた。