ガチャ

玄関のドアの鍵が開く音が聞こえた。



「お父さんっ……」



「今日は仕事が早く終わったからな。今日、テスト返ってきたんだろう? ほら、見してみろ」




わたしが答案用紙を見せると、お父さんのメガネの奥の目がぐわっと見開いた。



「27点!? なんだこの点数は!!」



「痛ッ……!」



わたしはお父さんに押し倒されて、頭を蹴られた。



「本当にテスト勉強はちゃんとしたんだろうな!?」



ちゃんとしたはず。



「授業は真面目に受けてるのか!?」



真面目に受けてるはず。



「なんでお前はこんなひどい点数しか取れないんだ!!」



ごめんなさい。



「いい点を取るなら高校に入れてやると言ったはずだ! 忘れたのか!?」



「追試は回避するよう頑張りますからっ……ごめんなさいっ!」



震える唇からそう言ったものの、お父さんは蹴ることをやめてくれない。



「追試をしないのは当たり前なんだよ! 約束するまでもない!」



痛い……。



「やめて!」



痛いよ、お父さん。



「ごめんなさい!」



次はいい点を取りますから、蹴らないでください。