落とした沈黙のかわりに、銀髪の不審者サマはがさごそとキッチンを漁っている。
人様の家で何勝手に物色してるんだろ、あの人……。
「……何してるんですか?」
「食うもんないか探してるだけ。……なあ、調理器具借りてもいい?」
「何をするおつもりで?」
「食事つくるだけだけど」
思わず、パッと銀髪を振り返った。
「ってか、食材あるのに作んないとかもったいないだろ。なにこのシンクの綺麗さ」
上半身裸のままキッチンを彷徨く銀髪さん。
この際もう突っ込むまい。
……重要なのは。
「あの、不審者さん」
「だから不審者言うな」
ぶすっとしたまま、隣に立つ私を見下ろした彼に。
「家事はどの程度出来るんでしょうか」
「……?フツーに一人暮らし出来るくらいには」
「……家事万能不良っているんですね」
その能力をわけてほしいと、切に願った。



