呆れながらも、そのナルくんとやらが生きがいなら、まあそこまでなるよね、とも思う。
今の私には推しとやらも生き甲斐とやらもないけれど、その気持ちは充分に理解してるつもり。
生きがいがひとつでもあれば、生きやすくなるし、活力にもなるから。
「あの三人が揃うのは結構珍しいの!大体ひとりか2人で行動してて、揃うのは最早奇跡に近い!!」
「だからその3人はアイドルか何かなの?」
芸能人にも負けず劣らずの人気だね。
それだけ人気だと、逆に近寄りがた……く……、
「ほらほらっ、真生はあの中じゃ誰がタイプ?わたしは断然、ナルくんに似てる那吏くんだなあ……って、どしたの、真生」
そんな凛琉の声は聞こえず、このチャンスを逃してなるものか!と必死に頭をめぐらす。
えっと、あの呼び方で呼んだら怒られるし……ってあれ、私名前知らないな。
なら……、
「────おかあさん!!!」
「……………は?」
言った瞬間、語彙力のない自分を頭の中で殴り倒した。



