今夜はずっと、離してあげない。






「ねーねー真生、今日の放課後カフェに、」

「ごめん今日バイト」

「……はああああ、このバイト魔!」



いやあ、それほどでも……え、週5、ほぼ7のバイトって入れすぎじゃないよね??


今日も色とりどりのお弁当を突きながら、むむっと眉間に皺を寄せる。




「そんなバイトして楽しい?」

「んー、楽しいか楽しくないかで聞かれたら……楽しくはない、かな?」




どちらかというと、バイトはやらなくていいならやりたくないタイプなのだ。

ただ、一回始めてしまうと抜け出せないのがバイトだと思う。




「要するにやめづらいだけなのね」

「そうとも言う」




なぜ凛琉はそこまで正確に私の思考を読み取れるの……と思いながら卵焼きをつかもうとした、ら。



「隙あり!!」

「あっ、ちょっ、凛琉?!」



素手で奪ったかと思えば、ぱくりとあっという間に凛琉の胃の中に。


私の最後の卵焼き!!