「……氷高になんかあって、帰ってこれなくなったりしたら、おれ、ほんと、心臓とまるから、ヤメロ」
「以後気をつけマス」
「………、」
「すみませんやめますやめます!!」
危険は絶対回避します!!
そう宣言すれば、じとおっと湿った目をしながらも、納得してくれたみたい。
「……じゃ、帰るか」
「そうですね」
歩き出そうとした、その刹那。
まるでそうすることが当たり前だと言わんばかりに、するりと手に、からみついた、それ。
「………、あの、千住サマ?」
「ナニ」
「この左手を握ってる手は、」
「お前あぶなっかしいから。帰って来なかったら怖いし」
「私幼稚園児扱いですか?!」
そこまでする?!千住サマならするね!!!
そう自己完結をして、己を納得させる他ない。
「あの、えと、手汗、とか」
「気にしない」
「えええ……」
繋がれている手に目を落としたら、なんか、まあいっか、って思っちゃって。
やわく、ほんとうに、ふわっと指を軽く折り曲げたら、きゅっと、倍くらいの力で握り返された。