……たしかに、跡形もなかった。
なんなら、昨日のことも、世話を焼いてたことも夢だと思えるくらいには。
この際、もう夢だと、あれは気の迷いだったということにしておこうと思っていた。
その日は、布団を洗濯して、久々に部屋を綺麗に(多分)して。
そのあと仮眠をとって、さあ買い出しに出発!とマンションを出て二、三歩進んだところで、ぴたりと停止。
……いや、停止せざるおえなかった。
目の前に、ありえない光景が飛び込んで来たから。
「把田さん、ここでいいんですか?」
「うん。そこにお願い」
模様替えでもしてるのか、お庭のプランターを動かしている明らかな部外者と、にこにこしているお家の人。
もとい、
「お、大家さん!何やってるんですか?!」
私のマンションの大家さんと、昨日の派手派手不審者だった。



