そんな時に
「哀榎ちゃん、おはよう」
声をかけられた。
この学校で私に声をかける人は先生か、あと1人くらいしかいない。
今、声をかけたのは後者の人だ。
「おはよう、蒼空」
綺麗な顔立ちが惜しげもなく私に向けられている。
まるで女の子のような綺麗な顔をしている男の子の名前は藤田蒼空。
名前まで中性的で女の子にも捉えられるけど、れっきとした男。
藤田蒼空っていう名前の女の子はいてもおかしくないなとは思うけど。
名前だけ聞けば男女どっち?って思われるかもしれない。
この学校で唯一、私と対等に話す人。
私の唯一の友達っていうところかな。
なんか蒼空を友達という安っぽくない言葉で片付けたくはないんだけど。



