それから乗り換えの駅までずっと下を向いていた。
下を向いたままでいたら涙が溢れてしまいそうだった。
だけど、上を向いて彼と目を合わせる自信がなかったから。
私がずっと下を向いている間、蒼空の手は頭から離れることはなかった。
乗り換えの駅は多くの路線が乗り入れしているため、この時間でもかなり混雑する。
前を向いてしっかり歩かなければぶつかってしまうし、目的の路線まで無事に辿り着くためには人をかき分ける必要がある。
「哀榎ちゃん、混んでるから見失わないで。乗るとこまで早足で行くから」
「分かってるよ」
かなり混んでて普通に歩くだけで肩がぶつかったり、足が踏まれるレベル。
そんな時蒼空は私が埋もれないために、必ず先頭を歩いてスペースを作ってくれる。



