どうしてこんなに蒼空の手は温かいんだろう。
こんな泣きたくなるくらいに優しいんだろう。
私はあの日からこの手に何度助けられてきたのだろうか。
「......蒼空」
聞こえるか聞こえなくらいの小さな声で呼んだ彼の名前。
電車の揺れる音で聞こえなかったらそれでもよかった。
「大丈夫。哀榎ちゃんは変わったよ」
───けど、彼にはちゃんと聞こえていたみたいだ。
私が口には出さなかった想いまで。
きっと私と蒼空の心は繋がっていると自惚れてもいいかな。
私はこの温かい手を離したくない。
この気持ちが何なのか、今の私では消化することが出来ないから少しだけ時間をください。



