「哀榎ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいよ」
「あの頃の僕に唯一感謝できることだから」
「蒼空.....」
あの頃とは私と蒼空が中学生だった頃。
お互いがお互いをまだ知らなかった頃。
同じ中学にいて、同じような時間を過ごしてきたはずなのに。
きっと廊下やどこかですれ違っていたかもしれないのに。
私達は....お互いを知らなかった。
あの日までは。
「こんな時にごめんね。もう死んだのに」
「....全然!私達は生まれ変わったんだよ、蒼空」
あの頃の私達などもうどこにもいない。
あの日あの時あの場所で死んだのだ。
藤田蒼空と宮川哀榎は。



