「お邪魔します」
靴を脱いで用意されたスリッパを履いて、愛良ちゃんに手を引かれる。
家の中もとても広く、高そうな坪や花瓶が立ち並んでいるため倒さないかひやひやする。
壊して弁償してと言われても、生涯かけて働いて返せる金額かどうかも怪しい。
「ママ、お兄ちゃん、哀榎ちゃんが来てくれたよ~!」
勢いよく扉を開けた先は私も何度か来たことがある1番広い部屋、リビングだった。
部屋の中はソファに座りながら静かに読書している蒼空、猫を撫でながらテレビを見ている麻里子さんの姿があった。
「哀榎ちゃん、暑い中お疲れ様。体調は悪くなってない?」
読んでいたであろう本から目を外し、すぐに声をかけてくれた蒼空。
「心配してくれてありがとう。体調は問題ないわ」
確かに暑かったけれど、愛良ちゃんのかわいらしさで全部吹っ飛んでしまった。



