あの人達の温もりの中で座っていてばかりでは駄目。
ちゃんと独りで歩いていけるように、冷たく厳しい中でも立って歩み続けられるように。
彼らの温もりに包まれるたびに感じる焦燥感。
私という存在を包み込んでくれるその優しさに甘えそうになる自分が許せない。
あの時に大きすぎる温もりをもらったのに、立ち直れた今も委ねてしまいそうになる時がある。
生まれ変われたと思っているけど、それはガワだけ。
だけどそう思い込むことで立ち直れたし、ここまでになることができた。
「.......よし、行こう」
このままグダグダ考えていても仕方ないから、出かけようと決めた。
ちょうど新しいアクセサリーがほしいと思っていたし、今日はバイトもないから家にいるのはもったいない。
外ではセミが鳴っていて、暑いのは明白だけど。



