「…い……」

「…きたくないんだろう?」

「っ!」

先を読まれてグッと押し黙る。

「じゃあ学校行ったふりして俺の部屋であのゲームやるか」

ニッコリなのかニヤリなのか
よく解らないけれど誘惑的な笑顔の碧。

あ、悪魔の誘いとはまさにこの事だわっ!!

「いっ…行くもん…!」

「無理に行かなくてもいいんだぞ?」

「っ!あんまり甘やかさないでよっ!」

「甘やかしたくなる。結香が好きだから」

「っっ!」

こっ、この人はどうしてこう甘い台詞が次から次へとポンポンポンポン出てくるのかっ!

恥ずかしさでカーッと顔を赤くしていると
それに気付いた碧が、

「どうした?顔が赤いぞ。風邪か?」

コツン。わたしのおでこに自身のおでこをくっ付けて「熱はないな」なんてフムフム。

わたしは、、、石のように固まった。

「俺はそろそろ配達に戻る。登校時間になったら迎えに来るから。じゃあ」

油が足りない自転車をギコギコ鳴らしながら碧は去っていった。

わたしはへなへなとその場にしゃがみこむ。

「甘すぎだよぅー…」

両手で顔を覆い、熱い溜め息を吐き出す。

触れられたおでこもまた、熱かった。