車どころか、ひとっこひとりいない小道にタイミングばっちりで碧のところに今朝見た黒塗りの車がスッと横付けされて、わたしを抱いたまま流れるように後部座席に座った碧は、これまた今朝見た初老の運転手に
「俺のマンションへ。出せ」
と一言だけ告げ、運転手も「かしこまりました」とペコリと頭を軽く下げると静かに車を発進させた。
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約20分後。
わたしはタワマンの最上階の部屋に居た。
部屋に着いて、やっと降ろしてくれて。
だけど、わたしはその脚でただただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
「どうした?」
「『どうした?』じゃないっ!ここ何処!?」
「俺の家だが?」
「ご両親とかは!?」
「なんだ、両親に挨拶したかったのか?じゃあ連絡取って近いうちに両家の顔合わせでも…」
「ちがーぅっっ!!!」
なんて事を言い出すんだこの人はっ!!
「じゃあなんだ?」
「ここっ!この家に碧1人で暮らしているの!?」
「?そうだが」
何か問題でも?みたいに首をコテンと傾けたのに不本意ながらも一瞬トキメいてしまったけど!そうじゃなくて!



