「君、学校サボったの?暇してるなら俺らと遊ぼうよ~」

ボサボサの金髪頭と緑色の短髪の男ふたりが下卑(げひ)た笑いをこちらに向け、近寄ってくる。わたしは、男ふたりが近寄ってくる分だけ後退り間をあけるので精一杯。
恐怖で膝が震えて走って逃げる状態じゃなかった。

「い、いえ…っ、結構ですっ。も、もう帰りますので」

「おい、この子すげぇ可愛いぞ」

「マジで?お、ほんとだ。ラッキー!」

ふたりで何かボソボソ話しているみたいだけど、恐怖に支配されているわたしの耳にはその内容が入ってこない。

…逃げなきゃ。

このふたりが言う「遊び」は、きっとわたしにとってとても良くない事だ。

「っっ!!」

意を決して勢い良く走ろうとしたけれど、
震える膝が体重を支えられなくてそのまま地面にペタンとお尻をついてしまった。

ついには身体全体が震え出してしまい、金縛りにあったかのように声も出ない。

「どうしたの?怖いの?大丈夫、お兄さん達は全然怖くないよぉ。さ、車に乗ってドライブでもしようか」

金髪頭がにっこりと笑うけれど、自分の欲を満たすことしか考えていない人間の表情だ。

両手をグイッと引かれるも必死に抵抗するわたしに業(ごう)を煮やしたのか、金髪頭は緑の短髪に「おい、足持て」と指示をし、わたしの身体はいとも簡単に2人の男によって宙に浮いた。