結城コーポレーションって社名は確かに聞いたことがある。
あや姉が就活の時に第一志望に選んだ会社だ。
書類審査で落ちたけど。
…しかし。そんな大企業の御曹司がなんだって毎朝新聞配達なんてしているんだろう…。
うーん…とすっかり考え込んでしまったわたしに余計腹が立ったのか莉歩ちゃんは更に捲(まく)し立てる。
「いい!?あなたみたいな学校にロクに来ない子が気安く話していい相手じゃないの!しかも何よ、結城先輩のこと名前で呼び捨てにして!!身の程知らずにも程があるわっ!!」
「…っ」
きっと、莉歩ちゃんの言っている事は正論だ。
そうか。碧とわたしではまるで住んでいる世界が違うのか。
それならなんで碧はわたしにあんなにも構うんだろう。
碧の周りには居ない珍しい玩具(オモチャ)を見付けて気まぐれで一時的に構っているだけなのだろうか。
わたしが完全に黙りこんでしまっても
莉歩ちゃんの罵倒は止まず、保健医がそれを懸命に黙らせようと必死だ。
…ダメだ。
苦しい…苦しい…苦しいっ…!



