じっ、自分の、おっ、おおおお女っっ!?

その言葉に反応したのはわたしだけじゃなく朔もで、ずっと放心状態でソファーで項垂(うなだ)れていた彼がバッとわたし達が座っているダイニングテーブルに向かってきて碧が座っている所のテーブルをバンッ!と両手で叩いて、

「結香がお前の女なワケないだろっ!?結香はなぁ!結香はなぁ…!お前みたいなチャラい奴なんてタイプじゃないんだよ!!」

何故か半泣きな朔。
どうしたんだろう。

「…結香。俺のことタイプじゃないのか?」

「…えっ」

「「気安く結香に話し掛けるなぁ!!!」」

大真面目に聞かれて戸惑っていると…、いや、戸惑おうとしようとしたら、そんなわたしよりも速くあや姉と朔のハモった叫び声が我が家に響き渡った。

碧が、チャラい…。
隣に座ってこっちを向いている碧をジッと見てスキャンしてみる。

…まぁ、片耳だけピアス開けてるけど、髪の毛は黒いし、制服も襟元を少し着崩しているだけだしなぁ。チャラいって程でも……ん?んんん?
な、なんか碧の顔が段々近くなってきているような…?え、えっえっ!?

「っっ!!」

碧がわたしにキスするよりも早く、あや姉が碧に全力のチョップをかまし、朔はわたしの口を両手で抑えてあや姉のチョップのあと碧を蹴り倒した。