「あの…っ」
「どうせもう遅刻なんだ。休んでも構わないからな」
そう言うなりイケメンはわたしの家の玄関にスタスタと歩いてゆく。そしてわたしに「おいでおいで」の手招きをしている。
そんなわたしは呆然とするしかなくて。
そしてそんなわたしを見かねたイケメンがまたこの手を取り、ズルズルと引きずるようにわたしをわたしの家に連れ込んだ。
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「…粗茶ですが、ど、どうぞ」
「ちょうど喉が渇いていたんだ。ありがたくいただくよ」
イケメンはそう言うなり淹れ立ての紅茶をくぴっと口にして、目を見開いた。
「美味いな。これは、ダージリンか…?どこの紅茶だ?やはりスリランカ産か?」
イケメンの言葉を聞いて今度はわたしが目を見開く。
「…いえ。これは和紅茶です。スリランカ産のも香りが良くて好きですが、最近この和紅茶にハマっていて」
「驚いたな。こんな美味い和紅茶は初めてだ。紅茶、好きなのか?」
「はい、好きです。えっと、貴方もお好きなんですね。詳しいから…」
「碧(あおい)」
「…え」
「俺の名だ」
「碧…先輩?」
「そうなるな。俺は君よりひとつ年上だから」



