「あ、あのっ…?」
か、顔がっ!その整い過ぎた顔面が近いんですけど…!!
「行くぞ」
「へ?……っっ!!」
やっと言葉を発したイケメンはそのままわたしの右手首をガシッと掴んだ。
「ちょっ…!ちょちょちょっ!!行くって、どこへ!?」
「学校に決まっている」
グイグイとわたしをすぐ側に停めてある黒塗りの高級外車の元へと引っ張るイケメン。
苦労人が外国車…!?
しかも黒塗り!!
ま、まさか、この人、その筋の人なんじゃあ…。
またしても顔面蒼白になったわたしは必死に抵抗する。
「いやいや無理っ!無理ですっ!!」
「何が無理なんだ?…あぁ、まだ制服に着替えていないのか。じゃあ待っていてやる」
「そ、そうじゃなくてですねっ!?わ、わたしいま学校通っていなくて…」
「なぜ通っていない?」
「そ、それは、話すと長くなるのでーー」
「では、聞こう」
「は!?」
言うなり今にも車の後部座席にわたしを押し込めようとしていたのを止め、運転手らしき初老の男性に何かボソボソ言うと、車はイケメンを置いて静かに去ってしまった。



