嘘恋愛者

「あれは、本命に告る練習で緊張してたのと、嘘がバレたらどうしようって不安になってただけ。あんたのことなんて、一ミリも好きじゃないから」


 一切関係ない美波が舌を出して、挑発してくる。


「柿原君に告白した次の日休んでたのは、断られてショックだったから、じゃないの……?」


 俺たちの会話を遮ったのは、藤枝さんだ。


 そういえば、俺がもらったクッキー。あれは、綾乃が休んだから、俺の手元にやってきたものだ。


「違う違う。夜遅くまで漫画読んでて、寝坊しただけ」


 藤枝さんは拍子抜けした顔をする。


「じゃあ、私だけなにも知らなかったんだね……」


 そして恥ずかしそうに言った。


「余計なこと、しちゃった」


 不自然な笑みを浮かべる。そんな笑顔にすら、胸を締め付けられる。


「なに言ってんの。奏羽のおかげでめちゃくちゃすっきりしたよ。ありがとう」


 綾乃の言葉で、藤枝さんの表情に一気に安堵の色が見える。そんな藤枝さんの頭を、美波が優しくなでる。


 俺たちは、その様子を黙って見ておくことしかできない。


「ところで、なんで奏羽は柿原たちのこと知ってたの?」


 美波に聞かれ、藤枝さんは目線を落とす。