嘘恋愛者

 簡潔な答えだった。だが、それは俺をさらなる思考の迷路に誘う。


 俺だけではない。蒼生もまた、理解しきれていないらしい。


 俺たちは、二人そろってなにも言えなかった。


 全部知られていたのか。


 女子は優しくされたくらいで告白するほど単純な生き物だと思っていた。だが、実際は女子のほうが何枚も上手だったらしい。


「女子のグループで、柿原たちのことが回ってきたんだよ。女子に告白させようと近付いてくるから、さっさと解放されたかったら、嘘でも告白したほうがいいって」


 美波と呼ばれていた女子が、そう言いながら藤枝さんにスマホを見せている。


 絶対に告白されたのも、期間が短くなっていたのも、そういうことだったのか。自分の力だと思っていたから、恥ずかしくて仕方ない。穴があったら入りたい。


「奏羽はスマホ持ってないから、柿原たちのこと知らなくて困ってるんじゃないかと思ってたけど……」


 綾乃は俺を最大限にバカにして鼻で笑う。


「あんたが騙されてたんだ?」


 今すぐ逃げ出したかった。


 でも、足は動いてくれない。


「……俺に告白してくるとき、手を震わせてたくせに」


 少しでも反撃したかった。だから、あのときの記憶を呼び起こした。


 それなのに、綾乃はますます俺を嘲笑う。