嘘恋愛者

 いや、違う。


 俺が、誰にも興味を持っていなかったのだ。自分が楽しむことにしか、興味がなかった。


 だから周りが見えていなかったし、藤枝さんのことにも気付かなかった。


 なんとも自分勝手なやつだ。


「なんだ、柿原が奏羽に近付いてたわけじゃないんだ」


 すると、俺たちの間に流れている重い空気を読まずに、女子が会話に入ってきた。


 二人いるが、片方は藤枝さんがクッキーをくれたときにいた。もう一人は数日前、藤枝さんに声をかける直前に告白してきた女子だ。


 彼女が、藤枝さんの友人だったのか。


「綾乃……美波?」


 藤枝さんは状況を飲み込めていないように見える。しかし俺も彼女のセリフに違和感があった。


「美波が奏羽と柿原が仲良くなってるって言っててね。奏羽が柿原につきまとわれてるなら、助けなきゃと思って来たんだけど」


 二人は顔を見合わせて、ねー、と言っている。


「ま、待って……どういうこと……?」


 藤枝さんが代表して質問する。俺も蒼生も、彼女たちの返答を待つ。


「柿原夏輝と真城蒼生が女子で遊んでいるっていうのは、私たち女子全員が知ってるってこと」