響は謙太郎を唆す

「残念だな、響は、そんな女じゃない」
「⋯⋯ 」
「響は、俺の事を一番に考えてる。
俺が違う子を選んで自分が傷ついたとしても、俺の意志を尊重する。
俺の選んだ物を、俺のために大事にする」

しばらく車を走らせた。

紗代子の実家の都築家に車は入って行った。
外の門は開いていた。
謙太郎が連絡してあったからだった。

「着いた」
「⋯⋯ どうして⋯⋯ 私は謙太郎の家に⋯⋯ 」
「うるさい。いい加減にしてくれ」

と言いながら、謙太郎は先に車を降りて、玄関の中の方のインターフォンを鳴らした。

すぐ父親が出てきた。
謙太郎は助手席を開けた。

「最初の日からちゃんと話したように、俺は医者にならない。
それと全く関係ない話で、紗代子と付き合う気もない。
これ以上内藤家にいても、何の意味もない。
家に戻ってくれ」