ルナはずっと無言で食べていた。

今でもキスをされた実感がわかない。それに私を「女にする」って、どういう意味だったんだろう?

キスがまるで、その場しのぎの演技に過ぎないとばかりに、ルナの私への好感度は、相変わらず読めなかった。

冷たいようでもあるし、守られてるようでもある。

そんな微妙な感じ。

そして颯さんは、私を巣から警戒する小動物みたいな目で見ていた。

唯一の女の子なんだから、なんとしてでも仲良くならないと。

けど颯さんはかなりシャイな性格みたいで、まだ声もまともに聞いたことがない。

ペコハウスで暮らすには、まずはこの子と仲良くなるところから始めないとね。

「そうだ。琴葉。ここでのルールをいくつか教えねぇとな」

篤史さんは、初めて私の名前を呼んだ。