「昔から何度も見てるの。夢って、過去の失った記憶が現れる場所って言うし」

前に歩くのは、美桜と阿里沙(ありさ)、それに芽郁(めい)。

私が話すまで、三人は私を置き去りにして、彼氏の自慢話で盛り上がっていた。

「だからもしかしたら、私も昔、その子と会ったんじゃないかって、思ったりするんだ。忘れてるだけでね…」

私が言うと、三人は急に黙った。チラチラと周囲に目を配り、妙に警戒している。

どうしよう。何かまずいこと言っちゃったのかな?

「ははっ、美月(みつき)さんおもしろ。やっぱ“天才”は言うことが違うね。発想が個性的っていうか…」

何かをごまかすように、芽郁が笑う。

「そうじゃなくて…」
「それよりさ!」と阿里沙が割り込む。

「美桜はどうなの? 例の彼氏と!」
「ん?」
「AXIS(アクシス)なんでしょ? 今の彼氏!」