三人が逃げていくと、将冴さんは私に言った。

「怪我とかない? 怖い目にあったね。でも俺がいれば大丈夫だからな」

さっきまでの殺気がこもった目が、嘘のように優しい。

「あ、ありがとうございます」

ちょっとだけ、お兄ちゃんに雰囲気が似てる。優しかった頃の。

「その格好寒くない? 夏でも夜は冷えるからさ」

たしかに、薄手のドレスだから少し震えている。

将冴さんは上に着ていた翼の刺繍が入った特攻服を脱ぐと、私に羽織らせた。

「これ、大事なものなんじゃ…?」

さっき最高幹部の証って言ってたし。

「いいんだよ別に。それより、お家はどこ?」