「明日のために、今から練習がしたい…」

その言葉で、私と蓮は夜中なのに、タクシーで大学へむかった。

その間は、ずっと無言だった。

私は蓮の二度目の告白を、受け入れることも、拒むこともできなかった。

明日への不安が、胸を覆い隠していく。

実はずっと、悪い耳なりのように、“死の旋律”が聞こえていた。

今日の午後の演奏も最悪だった。このままだと、不安で夜も眠れない気がした。

大学は昼間と比べれば人気がなくて静かだったけど、ところどころ灯りもあって、まだ誰かが残って作業をしていた。

「琴葉、ワイン飲むかい?」

音楽室につくと、蓮はどこからかボトルとグラスを持ってきた。