ワルシャワへ行く準備は、少しずつ進んでいった。

お兄ちゃんは退院したあと、何人かの執事とともに逮捕された。

執事による内部告発だった。主に私への暴行と、海外で繰り返していた悪事が理由だった。

九月になり、夏の終わりを肌で感じた。窓からボーっと外を眺めていると、空には、夏には見られなかった羊雲が浮かんでいた。

時間の流れが早かった。ペコで過ごした時間は、この何倍も長く感じた。

10月になると、私の出発が決まった。それからは向こうで、編入試験の勉強をする予定だ。

そうなると、今日まで何度も心に浮かんでいた思いが抑えられなくなった。

……ルナに会いたい。

けど、もしマスコミに知られたら、あの1ヶ月の秘密が世間にバレてしまうかもしれない。

そんな葛藤もあり、別れてから一度もルナには会っていなかった。

そしてついに、出発の前日。

「琴葉。今日の夜、僕と食事に行かないか?」