「ガキはガキらしく、大人の言うことを聞いてりゃいいんだよっ!!」

スタンガンを持ったまま、私のもとへ走る。

けど、ちっとも怖くなかった。

かわいそうに。お兄ちゃんは知らないんだ。

私の後ろにいる人が、最強の総長様だと。

バキッー!!!!

ルナの拳がお兄ちゃんのアゴに命中する。

お兄ちゃんは一瞬で宙を舞う。

血が飛び散り、頭から地面に落下する。

スタンガンはコロコロと転がっていき、ルナはそれを踏み潰す。

「ああ、あ…」

歯が折れたのか、アゴの骨が折れたのか、お兄ちゃんはしゃべることもできず、ギリギリの状態で意識を保っていた。

ルナは静かにお兄ちゃんへ近づく。

そのとき、ゾッとするような黒いオーラをルナから感じる。

反射的に身震いする。私だけでなく、蓮も、梟夜ですら同じ反応をした。

「おい、美月陽翔…」

ルナはお兄ちゃんの胸ぐらをつかむ。その声ほど、恐ろしい“音”を私は聞いたことがなかった。

これが、最強の総長の本気…。