夜。ルナは私をバイクの後ろに乗せ、町を駆けた。

ルナの背中をギュッと抱く。エンジン音が響き、強い風が体を震わせる。

町を抜けると、海が近くに見えた。振り返ると、町の光が宝石のように輝いている。

砂浜にバイクを止めると、ルナは私の手を引き、海まで連れていった。

靴を脱ぐと、足を海に浸けた。

むし暑い夏の夜に、ひんやりとした感触が心地よかった。

「ルナ!」
「うわっ、つめた!」

水をかけあい、じゃれあっていると、いつの間にか二人とも水浸しになっていた。

砂浜に座ると、肩を寄せ、海を見た。

真っ暗な海。空には無数の星たち。

「ありがとう琴葉」