「いてて…」
「動かないでください」

喧嘩が終わり、私は将冴さんが負った怪我を消毒していた。

「やっぱAXISの幹部クラスは強えわ。ルナか颯太なら無傷で勝てたかな?」

「十分すごいですよ」

将冴さんの唇から血が流れていた。多少怪我はしたけど、将冴さんは五人を相手に勝ってしまったのだ。

「ありがとうございます。将冴さんには、もう二回も守られてる…」

将冴さんは「ははっ、琴葉は悪くねぇし、気にすんな!」と笑う。

「あの幹部達は?」

「ルナが処分してくれる。大丈夫。もう琴葉の前には現れねぇよ」

将冴さんはいつもの明るい将冴さんに見える。

けど、ルナの引退のことを何とも思っていないわけはない。

「将冴さんは、なんでAXISに入ったんですか?」

そういえば今まできいたことがなかった。

「ん? そうだな…」