「理由…?」
「彼は君が家出するずっと前から君のことを知っていたんだ。なにせ慧は、君の天音を聴いてピアノを始めたんだからね」
そうだったんだ!
たしかに初めて会ったとき、慧さんはすぐに私の正体に勘づいてた。
天音を弾けるのも、そういうことだったんだ。
「琴葉。俺はお前を裏切ろうとしたわけじゃない。ただ俺は、蓮に賛成だったんだ。暴走族の世界に長くいれば、琴葉の才能を潰しかねない。そう思ったから、蓮に協力した…」
蓮は慧さんを見てうなずく。
「彼は彼なりに琴葉のことを考えていたんだよ。同じピアニストにとって君は、それだけ価値のある存在だからね」
色々な思いが頭を過る。
けど確かなのは、慧さんが私を大切に思ってくれていたことだ。
たとえそれがルナとは違った方向でも、私を取り戻そうとする蓮への協力でも、それだけは確かだ。
「ルナに報告するか?」と慧さん。
言えるわけない。私は首を横にふる。
「じゃあ、そろそろ本題に入ろう」
「彼は君が家出するずっと前から君のことを知っていたんだ。なにせ慧は、君の天音を聴いてピアノを始めたんだからね」
そうだったんだ!
たしかに初めて会ったとき、慧さんはすぐに私の正体に勘づいてた。
天音を弾けるのも、そういうことだったんだ。
「琴葉。俺はお前を裏切ろうとしたわけじゃない。ただ俺は、蓮に賛成だったんだ。暴走族の世界に長くいれば、琴葉の才能を潰しかねない。そう思ったから、蓮に協力した…」
蓮は慧さんを見てうなずく。
「彼は彼なりに琴葉のことを考えていたんだよ。同じピアニストにとって君は、それだけ価値のある存在だからね」
色々な思いが頭を過る。
けど確かなのは、慧さんが私を大切に思ってくれていたことだ。
たとえそれがルナとは違った方向でも、私を取り戻そうとする蓮への協力でも、それだけは確かだ。
「ルナに報告するか?」と慧さん。
言えるわけない。私は首を横にふる。
「じゃあ、そろそろ本題に入ろう」



