その日、ルナの部屋の壁から、お姉さんの写真がなくなっていた。

「どうしたの? お姉さんの写真」

ルナはどこかすっきりした顔で微笑む。

「捨てた。俺にはもう必要ないからな」

ルナは自分の胸をトンとたたく。

心の中にいるから、もう必要ないって、意味なのかもしれない。

「薬も、もう要りませんね」

麗於さんは睡眠薬を処分した。ココアを飲ませなくて本当によかったと思う。

「麗於…」

ルナが真剣な顔で言う。

「話がある」

あとから思えば、この日、ルナは大きな決断をした。

ルナも少しずつ、変わろうとしていたのだ。