将冴さんの性格上、本人が飲みたがってもいない薬を飲ませるなんて、ありえないことだ。

それでも、それをせざるおえないと判断した。

ルナの体は、本当に限界なんだ。

「もし、ルナに薬を入れたことがバレたら?」

ココアを飲んで不自然に眠くなったら、何かを入れたって察するはず。

「私達のせいにしてくれてかまいません。ルナは怒るでしょうが、少なくとも琴葉を責めたりはしないはずです」

「でも…」

ルナも私に騙されたって思うはず。ルナは私のことを大切に想ってくれているのに、それを裏切ることになるんじゃ…。

「頼む。琴葉だけが頼りなんだ」

将冴さんが頭を下げる。声が少し涙ぐんでいた。

「出会った時から、どんどん体が弱ってるんだ。これ以上あいつに、自分で自分を殺すようなことをさせたくねぇんだよ」