奥から救急箱を持ってくる。

「大袈裟だな」
「いいからっ!」

ルナの手に消毒をし、包帯を巻く。

慣れてなくて、全然うまくいかない。何度も何度も巻き直し、止血していく。

これも全部、私のせいだ……

そんな思いが胸に込み上げる。

「価値のない手だ。お前と比べればな」

ルナは反対の手で、包帯を巻く私の手を握った。

そういえば、ルナと二人っきりでペコにいるなんてめずらしい。

時間帯と言い、月の形と言い、夢の中の光景と、今は完全に重なる。

「そんなことないよ…」

「俺の指は、ピアノを弾けない」

「だけど、私を守ってくれる」

手を握り合い、目がかち合う。

今日だってそうだ。

ルナは私のために戦ってくれた。

私をここに置くことなんて、ルナには何の意味もないはずなのに。

ルナはいつだって、私を……

「なんで、私なんかを…」