時刻は真夜中になる。

月がペコの大きな窓から蒼白い光を射し、小さな明かりひとつの店内を、靄のようにぼんやりと白く照らした。

篤史さんがいなくなってからしばらくして、うとうとしていると、ペコの扉が開いた。

「ルナ!」

ルナが入ってきた。特攻服はボロボロで、所々血のような赤黒いものが着いている。

「起きてたのか…」

ルナは右の手の甲をかばっていた。見ると、ナイフで切られたようなあとがあり、血が流れている。

「その手、どうしたの…?」

ルナはめんどくさそうに目を反らす。

「なんでもない」
「でも、怪我してるし!」

私は「かすり傷だ」と言い張るルナを椅子に座らせる。

外ではどんな争いがあったのだろう…?

想像するだけで、胸がしめつけられる。

「待ってて!」