将冴さんによると、篤史さんは男だけの孤児院で育ったらしい。

いじめや犯罪まで横行したひどい環境だったらしいけど、篤史さんはそのときのことを絶対に話したがらない。

「ルナはなんで最近、帰ってこないんですか?」

私がきく。

「GLEAMとの抗争が激化してるんだ。一昨日は関西の支部が攻められて、ルナは鎮圧に向かった」

詳しくは教えてくれないけど、颯太君が光理梟夜と会ってから、みんなの仕事がどんどん多くなっていた。

それも全部……

「原因は私ですよね…?」

GLEAMはAXISが私をかくまっているって知ってるし。

篤史さんはムカッとした顔をする。

「ちげぇよ。GLEAMがお前を取り戻すってのは、抗争を仕掛けるためのただの名目だ。遅かれ早かれ、GLEAMはAXISにしかけてた」

「けど…」

「俺に許されてぇのか? それとも、俺に責められてぇのか?」

篤史さんはあくびをしながら、席を立つ。