布団にもぐる。顔を隠し、おやすみの体勢になる。

「そうですか。ですが私には、ピアノを弾いている琴葉は、輝いて見えましたよ」

布団の中で、はっと息が止まる。

私が、輝いて見えた?

「麗於さん…」

顔だけ少し出す。

「まだ、ここにいていいの?」

私が問いかけると、麗於さんはくすりと笑う。

「答えが見つかるまでは…」

麗於さんは出ていった。

その夜は、うまく眠れなかった。

最後までは弾けなかったけど、久しぶりにピアノを弾いて、本当はとっても楽しかった。

「お母さん…」

今でも、お母さんが言っていたことがよく分からない。

私は、何のためにピアノを弾くのだろう?